●Urgent Care Hilo クリニック
Urgent Care Hilo クリニック
施設の紹介
Urgent Care Hiloのクリニックは、2003年に設立され、今年度、ヒロ国際空港の近く新しい施設に引っ越し、車でのアクセスが容易である。
診療時間
- 週7日間診療を行っている。
- 平日は8:30~20:30、週末(土日)8:30~16:30である。
- Urgent Care Hiloのクリニックではレントゲン撮影が可能である。
Urgent Careの特徴
- 予約がなく直接受診することが可能である。
- 入院設備がない
- 週末や祝日もオープンしているので、かかりつけの医師やかかりつけのNPへいけない場合急をようするが、かかりつけの医師やNPの予約がとれない場合にも受診することが可能である。
- 受診時の症状に関して診察するので、かかりつけ医あるいはかかりつけのNPと連携をとっている。
- かかりつけ医と救急受診のはざまをうめる。
- Urgent Care Hiloで必要と判断された場合は、救急室受診を勧める(あるいは救急車を呼んで救急センターへ移送してもらう)。
- 観光客(外国人)の診察も行っている(診察代金は約120ドル)
Urgent Care Hiloの患者概要
- 1日70名前後の受診者がいる。赤ちゃんから高齢者までの診察を行う。しかし、精神科の診察は行っていない。
- 受診患者の概要は、風邪症状、高熱、インフルエンザや小さな怪我ややけどである。
医療スタッフ
- Urgent Care Hiloの経営者は整形外科医である。
- 医療スタッフはDNPが1人、NPが2人、小児科医が1人、整形外科医と専属のRNが各1人である。整形外科の診療が1室あり、休診の場合は、Urgent Careの診察室として活用している。
- そのほかにも、受付、Office Managerがいる。
Urgent Care Hiloの診察室のレイアウト
- 建物の中央にレントゲン室が配置され、その周りに診察室が4室、DrやNPの部屋が各1室あり、コの字型の配置である。
今回、Urgent Care Hiloについての説明は、DNPではなく、経済学専攻であるOffice ManagerのBrenda Dunn氏が担当してくれた。Dunn氏は医療職が働き安い職場環境の整備と受診するクライエントにとってもよい医療環境を整えるようにしていると説明してくれた。特定の保険会社は、かかりつけ医が不在の場合やかかりつけ医の診察ができない場合(夜間など時間外)は、重症度の有無にもかかわらず救急室受診を勧めていた。それはクライエントにとっても経済的負担が大きく、また、医療費の高騰にもつながると考え、保険会社の意識を変えるのに4年間かかったと話していた。最初は話も聞いてくれいない状況であったが、それでも諦めず、データ(救急受診料とUrgent Care の受診料の比較など)を基に4年間も粘り強く交渉した結果、特定の保険会社のクライエントがUrgent Care Hiloを受診することが可能となったことを説明してくれた。
Emergency Room(ER)とUrgent Careの違いとは?
- ERは生命に関わる緊急事態の救急患者に対応する施設である。例えば、心筋梗塞、止まらない出血、深刻な呼吸困難、深刻な外傷、頭の怪我、意識消失など緊急性が高い患者を治療することが重要である。一方、Urgent Careは緊急ではないけれど、かかりつけ医師あるいはかかりつけのNPは24時間週7日間は診療していないのでかかりつけ医に見てもらえない時の急患や怪我の場合はUrgent Careを受診することを勧めている。
- ERは24時間週7日間オープンしており,CTスキャンなどの医療機器および専門医もそろっており、救急患者に対応することができる。しかし、医療費が高い。
地域住民もEmergency Room(ER)とUrgent Careの違いを知らないので、地域住民の教育も非常に重要である。現在は、メディアを活用してUrgent Careに関する普及に努力している。今後は、ポスターやチラシなどを作成して、いつでも、どこでも地域住民が目にすることができるようにしていく予定であると説明してくれた。地域住民がERとUrgent Careの違いを理解し、適切な医療行動をとれるように教育することは重要だと考えていた。
所感
異なる施設でさまざまなDNPの働きがあることを学んだ。Urgent Care Hiloでも高度実践看護師であるDNPやNPが働いており、そのときの患者の症状の判断を行いUrgent Careの診察でいいのか、ERの受診が必要なのかなどの臨床判断をおこなっていることが理解できた。Urgent Care Hiloは平日の診察時間も仕事が終わって受診できる時間帯であり、週末や休日なども診察していることから、かかりつけの医師やNPの予約がとれない場合など、Urgent Care Hiloで受診することができるなど連携しており、患者が不利益を被らないように工夫していることがわかった。日本においても、発熱や小さな怪我など不必要な救急センターを受診するなどの課題がある。日本における高度実践看護師の働きかたの一つとして、働いている地域で何が求められているのかなどを考え、医師と連携しながら高度実践看護師が自律して働ける環境整備などの参考になるのではないかと考えた。