オンライン国際講演会を開催しました
2020年12月19日、2021年1月24日、2021年2月7日にオンライン講演会を開催しました。
講演会のテーマは『未来を見据えた島しょ・へき地で活躍する高度実践看護師の人材育成への挑戦』です。
この講演会は2020年3月に開催予定であった国際シンポジウムをオンライン形式で開催したものです。
当初1日で開催する予定のシンポジウムを3回に分けて行い3回の講演会で延べ130人近い方々が参加されました。
講演会の様子は追って公開予定となっております。しばらくお待ちください。
——————————————————————————————————————————–
■第1回講演会(2020年12月19日)
テーマ:豪州ルーラル・リモート地域の高度実践看護師の人材育成への挑戦
講師:Sabina Knight先生 (James Cook University 教授)
第1回は豪州でナースプラクティショナーの育成や政策決定に関わっていらっしゃるSabina Knight先生をお招きしました。
豪州は日本の20倍という広大な面積に人口は5分の1という地政学的特徴が保健医療システムに影響を与えています。
講演会では豪州でナースプラクティショナーが生まれた背景や、教育システムを政策に組み込んでいく経緯など、Sabina先生からこそ語れる貴重なお話しを拝聴することができました。
豪州におけるナースプラクティショナーの人材不足や、それの課題を解決していくための取り組み、そして教育をうけるうえでの大学院生の生活背景に関する課題など、
日本における高度実践看護師教育にも示唆が得られる内容となっておりました。
講演の最後は「へき地のナースプラクティショナーにはとても大切な未来がある、そのために私たちは進んでいかなければならない」
というSabina先生の熱いメッセージが送られました。
講演会後は活発な質疑応答がなされ、実際の教育の内容や研修についての具体的な質問が寄せられました。
第1回講演会の様子(写真はSabina先生と通訳)
————————————————————————————————————–
■第2回講演会(2021年1月24日)
テーマ:ニュージーランドのルーラル地域で活躍する高度実践看護師のストーリー
講師:Jean Ross先生(Otago Polytechnic 准教授)
第2回はニュージーランドで高度実践看護師に関する研究をされているJean Ross先生による講演です。
ニュージーランドはヘルスケアシステムの権限が国ではなく地域へ移行されているという特徴があります。
講演ではJean先生が実際に関わられた研究を通してへき地で働く高度実践看護師の姿を語っていただきました。
「過酷ともいえる環境で看護職として働き続ける高度実践看護師の姿を言語化したい」
という強い気持ちで研究に取り組んだと話されていた姿が印象的です。
実際に語られた高度実践看護師のストーリーには
看護師という仕事への愛、へき地で生きる人々への関心、そしてへき地への尊敬が語られていました。
一見過酷とも思われるへき地で生き生きと働く高度実践看護師の姿は
実際に高度実践看護師として働いている参加者の方々に共感や勇気を与えてくれました。
講演会後はこれらの魅力的なストーリーに対して、より具体的な内容を知りたいという質問が集まりました。
第2回講演会の様子(写真右上がJean先生)
———————————————————————————————————————–
■第3回講演会(2021年2月7日)
テーマ:ハワイ島ルーラル地域でDNPプログラムを確立するための挑戦と成功
講師:Alice Davis先生(University of Hawaii at Hilo 教授)
第3回の講師はハワイ大学ヒロ校でDNP(Doctor of Nursing Practice)の育成に取り組んでいらっしゃるAlice先生です。
ハワイも他のへき地と同様に医療資源不足という課題を有しており、複雑化する健康問題に対応できる人材としてDNPを育成しています。
講演では、ハワイ大学で実際に提供されているDNPカリキュラムが紹介されました。
また、これらのカリキュラムが軌道に乗るまでの課題や問題点、そしてDNP教育から得られたアウトカムについてもお話しいただけました。
特にPractice Inquiry Project (PIP)という実践の変革者としての能力を養う取り組みが印象的でした。
また、カリキュラムの運用経験から、これからDNPを教育していく参加者への提言がなされました。
大学の職員に理解を得ること、そして地域の健康ニーズを活かしたカリキュラムにすることなど、実際に教育を動かしてきたAlice先生だからこそ語れる提言となっていました。
これらの提言はこれから日本で広がっていくであろう高度実践看護師の教育にも参考になると思います。
講演会後はカリキュラム運営に必要な費用や地域を巻き込むうえで必要な取り組みなど、さらに深い内容についてのディスカッションがなされました。
第3回講演会の様子(PIPについて語るAlice先生)